モダンピアノについて

ピアノは鍵を押すと鍵に連動したハンマーが対応する弦を叩き、音が出る鍵盤楽器です。

20世紀後半以降、「フォルテピアノ」「ハンマークラヴィーア」などと呼ぶ場合は古いピアノを指し、古い時代に作曲された作品を当時のスタイルで演奏する際に用いられます。
これに対して19世紀半ば以降のピアノを区別する必要がある場合には「モダンピアノ」などと呼ばれます。

標準的なモダンピアノは黒鍵36、白鍵52の計88鍵を備えます。鍵を押し下げるとハンマーが連動して弦を叩く仕組みをハンマーアクションといいます。
ピアノは鍵盤と同じ数(標準的なモダンピアノでは88)の音高を持ちますが、1音あたりの弦の数は音の高さにより異なり、最低音域では1本、低音域では2本、中音域以上では3本張られていて、弦の総数は200本を超えます。
ブリッジを通じて伝えられた弦の振動を、弦の下に位置した響板や響棒でピアノの音が拡大されます。

現代のピアノには、通常3つのペダル(サスティンペダル、ソステヌートペダル、ソフトペダル)があります。

  • 右側のペダルは、サスティンペダル、ダンパーペダルと呼ばれます。
    ピアノの鍵盤を押し、そして離すと弦がフェルト製のダンバーで押さえられ、音の響きが止まります。このサスティンペダルを踏むと、ピアノの弦の響きを止めているダンパーが弦から離れ、鍵盤から指を離しても音が長く鳴り続けます。そのため「ダンパーペダル」と呼ばれることもあります。
  • 左側のペダルはソフトペダルと呼ばれます。
    このソフトペダルは、サスティンペダルの反対で、響きを弱める機能があります。
    ピアノのほとんどは、1鍵につき、同じ音の弦が3本(低音は2本)使われています。鍵盤を押すと、ハンマーが3本の弦を同時に叩いて、大きな音を出します。ソフトペダルを踏むと鍵盤全体が少し右にずれます。これにより、ハンマーは3本の弦のうち2本だけを弾くため、音量が小さく、音の響きが柔らかくなります。
    (このソフトペダルは、グランドピアノとアップライトピアノとで中の仕組みがちょっと違います)
  • 真ん中のペダルは、ソステヌートペダルと呼ばれます。
    このソステヌートペダルを踏んだ時に押していた鍵のダンパーだけが弦に降りなくなり、このペダルを踏んでいる間は、鍵から指を離しても音が止まらずに伸びます。ペダルを踏んだ後に弾いた音には影響を受けないので、全部の音がぼける事なく、音の響きを調整できます。
    このペダルは、比較的最近になって登場したもので、20世紀後半以前の曲で必要になことはほとんどないそうです。

また、サスティンペダルの一般的なテクニックとして、

  • 「レガートペダル(後踏みペダル)」とは、ある音を弾いた後にペダルを奥まで踏んで離し、次の音を弾いた直後にまたペダル踏む方法です。
    ペダルのテクニックの中では最もよく使われ、音が濁ることなく、スムーズに次の音へとつなげることができます。
  • 「ハーフペダル」とは、ペダルを軽く踏み、ダンパーが弦に軽く触れる程度にするテクニックです。これによって、音が濁らずに豊かな音色が出ます。
  • 「前踏みペダル」とは、鍵盤を弾く前にペダルを踏み込むこと。ハンマーが弦を叩く前にダンパーが外れるので、より深く豊かな音色を作り出し、強く鳴り響かせることができます。

代表的なメーカー

  1.  Steinway & Sons(スタインウェイ・アンド・サンズ)
  2.  Bösendorfer(ベーゼンドルファー)
  3.  Bechstein(ベヒシュタイン)
  4.  Fazioli(ファツィオリ)
  5.  カワイ(河合楽器製作所)
  6.  ヤマハ(ヤマハ)
  7.  PLEYEL(プレイエル)
  8.  ブリュートナー
  9.  シンメル

 


 

1. Steinway & Sons (スタインウェイ・アンド・サンズ)


スタインウェイ・アンド・サンズ(Steinway & Sons、スタインウェイ)は、1853年にニューヨークでドイツ人ピアノ製作者ハインリッヒ・エンゲルハルト・シュタインヴェーク(後のヘンリー・E・スタインウェイ)によって設立されたピアノ製造会社です。
1853年より操業のニューヨーク州クイーンズ工場(18-1 Steinway Pl, Queens, NY 11105 )はアメリカ各州に、1880年より操業のハンブルク工場(Rondenbarg 10 22525 Hamburg,Germany )は世界のその他の地域に製品を供給しており、最高級グランドピアノ市場のスタインウェイ社の市場占有率は80パーセントを超えています。

ハンブルク・スタインウェイは日本をはじめとするアジア地域とヨーロッパに輸出され、ニューヨーク・スタインウェイは北米や南米への出荷が取り決められています。
ニューヨーク・スタインウェイは、比較的柔らかいハンマーフェルトを使い、硬化剤などの使用により幅広い音色を生み出すことができ、明るい音色とあいまってニューヨーク・スタインウェイを好むユーザーも多くいます。鍵盤両端の腕木と呼ばれる部分の角が直角であることとペダルボックスに金属装飾を持つ点が特徴です。
ハンブルク・スタインウェイは、より近代化された工場で製造されており、精度が高いと言われています。他のドイツ製ピアノと同様に比較的堅めのハンマーフェルトを使い、主に針を刺すことで整音を行います。鍵盤両端の腕木と呼ばれる部分の角が丸いことが特徴です。日本に入ってくるスタインウェイのほとんどはこのハンブルク製です。

スタインウェイはニューヨーク工場とハンブルク工場とで コンサート用グランドピアノ’Dシリーズ’ を製造しています。ニューヨーク工場の ‘D’ は伝統的なサテンラッカー仕上げで、ハンブルクの工場の ‘D’ は高光沢のポリエステル樹脂仕上げです。
ウラディミール・ホロヴィッツはニューヨーク製 ‘D’ を好んだのに対して、マルカンドレ・アムラン、アルフレート・ブレンデル、内田光子、ブルクハルト・シュリースマン、グリゴリー・ソコロフ、アルカーディ・ヴォロドス、アルトゥール・ルービンシュタイン、クリスティアン・ツィマーマンはハンブルク製を特に好みました。

スタインウェイ・ アーティスト
クラシックピアノのラン・ランから、ジャズのスター ダイアナ・クラール、ポップス界を代表するビリー・ジョエル、さらに、アービング・ベルリン、コール・ポーター、セルゲイ・ラフマニノフ、アルトゥール・ルービンシュタインなど1,800名以上のアーティストがスタインウェイ・ アーティストとして登録されています。

George Gershwin
Emil Gilels
Glenn Gould
Friedrich Gulda
Dang Thai Son
Christoph Eschenbach
Lang Lang
Radu Lupu
Ikuyo Nakamichi
Alice Sara Ott
Murray Perahia
Maurizio Pollini
Peter Rösel
Annerose Schmidt
Kazune Shimizu
Clara Haskil
Vladimir Horowitz
Wilhelm Kempff
Martha Argerich
Vladimir Ashkenazy
Michel Beroff
Akiko Ebi
Mitsuko Uchida

Billy Joel
Richard Carpenter

Fazioliのウェブサイトによると、スタインウェイ社はロシアのピアニスト、アントン・ルービンシュタイン(Anton Rubinstein)にお金を払い、アメリカの215回のコンサートで、スタインウェイピアノを演奏させたそうです。
今日、スタインウェイ社のウェブサイトには、スタインウェイアーティストと呼ばれる1800人以上のアーティストのリストが公表されていて、これに属している人は、世界中どこにいようと、好みのピアノと調律師のサービスを要求できるそうです。
しかし、他社のピアノを弾いたり、間違ったことを公の場で話してしまうと、痛い目に合ってしまいます、アメリカ人ピアニストのギャリック・オールソン(Garrick Ohlsson) のように。彼はスタインウェイアーティストでしたが、1972年のニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、オーストリア製のベーゼンドルファー(Bösendorfer)ピアノを所有していることを話し、これを「ピアノのロールスロイス」と呼んだそうです。
同じ日に、彼はジュリアード・スクール所有のアリス・タリー・ホールでスタインウェイを演奏することになっていたのですが、コンサート開始の数時間前には、スタインウェイ社の社員がステージからピアノを運び出していたそうです。その後約1年間、オールソンにスタインウェイピアノが提供されることはなかったとのことです。

スタインウェイにはもう一つのリストがあります。160以上に及ぶスタインウェイスクールと呼ばれる音楽学校のリストであり、所有するピアノの少なくとも90%がスタインウェイである音楽院や音楽大学が名前を連ねています。

上記のマーケッティング戦略により、スタインウェイのブランドは、ファツィオリピアノが生まれる遥か前からヴラジミール・ホロヴィッツやセルゲイ・ラフマニノフなど、 伝説のピアニストや名門教育機関と密接な関係を構築しました。
その昔アントン・ルービンシュタインに支払ったようなお金はスタインウェイ社はもう随分前に支払わなくなっているそうです。同社のブランド力は、多くのアーティストや学校にとって、もはや十分なインセンティブとなったのです。
このような状況を見て、コンサートのステージは単一文化(Monoculture モノカルチャー)になっていると懸念する専門家もいます。

主力のスタインウェイブランドに加えて、中間レベル市場向けに1991年にBostonが設計され、日本の河合楽器製作所の工場において生産されています。
またエセックスブランドはエントリーレベル市場向けに韓国のYoung Chang社と中国のPearl River社の工場において生産されています。

コンサート用グランドピアノ
D-274
一般的な本体価格は$180,000~$200,000 USD、3,800万円~4,200万円(税込)です。大コンサートホールを満たします。
C-227
一般的な本体価格は2,900万円前後です。クラシック、ジャズ、ポップスのスモールコンサートで使われてきました。
B-211
2,500万円前後です。

家庭向けグランドピアノ
A-188 O-180 M-170 S-155

アップライトピアノ
アップライトピアノK アップライトピアノV

 

Fabbrini Steinway

Maurizio Pollini(マウリツィオ・ポリーニ)の弾くスタインウェイには、ピアノの横の「STEINWAY & SONS」の下に金色で「Fabbrini 」と書かれています。
イタリアのAngelo Fabbrini(アンジェロ・ファブリーニ)がハンブルク・スタインウェイから選び出したピアノに、アクションコンポーネントを入れ替え、技術的な調整を行った、特別なスタインウェイピアノです。
ポリーニはこのFabbrini Steinwayで世界中で演奏していますし、Arturo Benedetti Michelangeli、Sviatoslav Richter、András Schiffも演奏しています。

キース・ジャレットとFabbrini Steinway

 


 

2. Bösendorfer (ベーゼンドルファー)


L. ベーゼンドルファー・クラヴィアファブリック(L. Bösendorfer Klavierfabrik)GmbHは、イグナッツ・ベーゼンドルファー が1828年にオーストリアのウィーンで創業したピアノ製造会社です。当時ヨハン・シュトラウス2世、ブラームス、リスト とも親交がありました。
2008年からはヤマハの子会社となりました。標準的な88鍵のピアノに加えて、低音部が拡張された92鍵および97鍵のピアノを製造していることでも知られています。
1台のピアノ製造の内、組立工程には62週間もの時間をかけるため、年間の生産は250台程度にとどまっています。

ベーゼンドルファーのピアノを特に愛用したピアニストとしてはヴィルヘルム・バックハウスが有名です。ジャズ界においては、オスカー・ピーターソンが「ベーゼン弾き」としてよく知られています。最近のピアニストではアンドラーシュ・シフ、パウル・バドゥラ=スコダ、イェルク・デームス、フリードリヒ・グルダ、ギャリック・オールソン、ヴァレンティーナ・リシッツァもベーゼンドルファーのピアノを好んで用いています。

「インペリアル」とも呼ばれる最上位機種のフルコンサートグランドピアノ「モデル290」がベーゼンドルファーの代表機種で約4,700万円(税込)です。
ベーゼンドルファー Model 170は約2,200万円(税込)です。

 


 

3. Bechstein (ベヒシュタイン)

C. ベヒシュタイン・ピアノフォルテファブリック(C. Bechstein Pianofortefabrik)AG)は、カール・ベヒシュタインによって1853年に創業されたドイツのピアノ製造会社です。
「フランツ・リストの演奏にも耐えられるピアノ」として著名となり、ドビュッシーとも親交がありました。
D-282は、ベヒシュタイン社を代表するコンサートグランドピアノです。

 

D-282 価格は非公開ですが、約2,800万円です。
C-234
B-212 1,540万円

 


 

4. Fazioli (ファツィオリ)

ファツィオリ・ピアノフォルティは、1981年に創業したイタリアのピアノメーカーです。
ピアノの音色を決定づける響板は、フィエンメ峡谷産のレッドスプルースが使用されています。
通常の3本のペダルの更に左側に4番ペダルの物があり、この特許を取得し、このペダルによって、ハンマーと弦の距離が短くなり、鍵盤が浅くなります。ファツィオリはこれを「音色を変えることなく音量のみが小さくなる」としています。
製品ラインナップはグランド・ピアノに限定されている。生産台数は、2009年時点で年間120台程度です。

通常の3本のペダルの更に左側に4番ペダルの物があり、この特許を取得している。このペダルによって、ハンマーと弦の距離が短くなり、同時に鍵盤が浅くなります。ファツィオリはこれを「音色を変えることなく音量のみが小さくなる」としています。これによってピアニッシモの効果が得られるだけでなく、グリッサンドや速いパッセージに利点があります。 4番ペダルはモデルF308のみ標準仕様です。

F308:ファツィオリ独自の特大コンサート・グランド・ピアノ
F278:通常のフル・コンサート・グランド・ピアノ
F228:通常のセミ・コンサート・グランド・ピアノ
F212
F183
F156

 

ジュリアード音楽院は1924年からスタインウェイしか学内への納入を認めない体制が貫かれてきましたが(学内にある300台弱のピアノすべてがスタインウェイ)、2011年3月31日に初めてファツィオリ工場からピアノを1台購入しました。


 

5. カワイ (河合楽器製作所)

河合楽器製作所のフラッグシップグランドピアノ「Shigeru Kawai(シゲル カワイ)」SK-7、SK-6、SK-5は1999年9月に発売され、日本を代表するグランドピアノです。SK-EXはフルコンサートグランドピアノです。

SK-EX
EX-L  2,300万円(税込)
SK-7 619万円

 


 

 PLEYEL (プレイエル)
イグナツ・プレイエルは、1807年にプレイエル社を設立しピアノ制作を始めました。
1813年には優れたピアニストであった息子カミーユに経営権を譲り、ダンパーペダルの発明やグランドピアノに金属フレームを採用するなどピアノ製造史上に大きく貢献しました。
フレデリック・ショパンの良き理解者であったカミーユは、パリでの音楽活動を全面的に支援し、またコルトー、グリーグ、ストラヴィンスキーなど多くの音楽家がプレイエルを愛用しました。
1961年にプレイエルはフランスのもう一つの老舗ピアノメーカーであるエラールと合併して存続し、1995年にはフランス人に経営権が移り南フランスのアレスに移転してフランス唯一のピアノメーカーとして再生しましたが、2013年11月にはついにピアノ製造の中止が発表されました。

 


 

Steinway D-247
Steinway D-247
Fazioli F308
Fazioli F308

 

スタインウェイ・コンサートグランドとベーゼンドルファー88鍵
スタインウェイ・コンサートグランドとベーゼンドルファー88鍵

 

スタインウェイ・コンサートグランドとベーゼンドルファー・インペリアル
スタインウェイ・コンサートグランドとベーゼンドルファー・インペリアル

 

(本ページのピアノの写真については、各ピアノメーカーのウェブサイトなどから引用しています)